Skip to content

洋上風力発電は電力問題や地球環境問題の救世主になりうるか?

洋上風力発電は電力問題や地球環境問題の救世主になりうるか?

洋上風力発電は電力問題や地球環境問題の救世主になりうるか?

最終更新日 2024年12月27日 by sticep

現在、日本が抱えている問題が電力問題です。
2011年の原発事故以来、再生可能エネルギーの普及が急務となっています。
原発を再稼働するにせよ脱原発をするにせよ、地球環境に優しいエネルギーの割合を増やすことは必須です。
日本は太陽光発電の技術など環境先進国でした。
しかし、現在はヨーロッパやアメリカ、中国といった国に遅れを取っています。
特に問題にしたいのが洋上風力発電です。
こちらは代替エネルギーになると期待されていますが、日本は遅れている現状です。
そこで、ここでは洋上風力発電の日本の現状とこれからの見通しを紹介します。

風力発電の割合を2030年までに1.7%程度(洋上風力は0.8GW)と予測

日本政府はエネルギー基本計画において、風力発電の割合を2030年までに1.7%程度(洋上風力は0.8GW)と予測しています。
また、日本風力発電協会は2030年までに10GW、50年までに37GWと見込んでいます。
両者の間で非常に大きな差がありますが、これはひとえに政府の取り組みの本気度を示しているでしょう。
2019年、洋上風力で最大となったのは中国です。
その新設量は239万KW、英国が176万KW、ドイツが111万KWと続きます。
洋上風力市場は米国も積極的に参入すると言われており、2020年から2024年の間に5000万KWを超えるという予測もあります。
さらに、台湾や韓国の企業が乗り出していますから、日本は中国だけでなく他のアジア諸国にも競争で勝たなければなりません。
争いは熾烈を極めていると言えるでしょう。

2019年に制定された通称「再エネ海域利用法」

日本の取り組みは遅れていると言いましたが、それでも次第に環境は整いつつあります。
ひとつが2019年に制定された通称「再エネ海域利用法」です。
海洋の再生可能エネルギー発電施設の整備に関わる法律で、これまで海域の占有に関する統一的なルールがなかったことや、調整の枠組みがなかったことを解決する法律となります。
これにより一般海域のある区域を洋上風力発電の促進区域とし、事業者は最大で30年にわたって占有することが可能となりました。
2019年7月には11の区域が整理され、うち4区域は特に有望な区域と指定されます。
現在挙がっているのが、青森県沖や秋田県沖、新潟県村上市沖、長崎県の五島列島の一部などです。
五島列島の沖は他の地域に先駆けて指定を受けました。
2016年から実証事業を行ってきましたが、公募が開始されます。
秋田県は洋上風力発電の誘致がもっとも活発な地域のひとつです。
男鹿市沖には複数の事業者が競合しており、今後最大で455MWの発電量を生み出すと言われています。
秋田由利本荘市沖には電力会社の複数が協力して事業に取り組んでおり、ここは1000MWの規模になると期待されています。
関東地方で、今後注目されているのが千葉県の銚子市です。
ここにも電力会社が公募に参加して開発を進めると発表されました。
最大出力は370MWの事業が期待されています。

これからの洋上風力発電の見通しについて

これからの見通しですが、海外の事例を紹介しながら予測を立ててみましょう。
ひとつめは洋上風力発電の先進国の一つであり、同じ海洋国家のイギリスです。
イギリスの洋上風力の歴史の始まりと言えるのは2012年と、それほど新しくありません。
それでも、現在は世界第2位の発電量を誇っていますが、その要因とは何でしょうか。
イギリスは洋上風力の導入当初は陸上風力の要領を洋上風力に適用したもので、要領やインフラ、サプライチェーンなど様々な問題を抱えていました。
イギリスの洋上風力を牽引しているのは、スコットランドの東部にあるピーターヘッド沖の「ハイウインド発電所」です。
海洋に発電所が浮かんでいる「浮体式洋上風力発電」は、今ではおなじみのものとなりましたが、ハイウインドにある浮体式の発電は世界で初めて導入したもののひとつとなります。
イギリス政府は2030年までに既存の発電量の約10倍にあたる40GWを超える発電量を目指しており、それは日本の目標の40倍以上です。
その計画を実現するには毎日1つのタービンを新規設置する計算となり、民間投資は約7兆円が必要と言われていますから、いかに高い目標となっているか分かるでしょう。
それでもイギリスは海に囲まれているという好条件を持っていますから、同じく海洋国家の日本も挑戦する意義はあります。

まとめ

風力発電業界は新たに洋上風力のタスクフォースを立ち上げました。
このタスクフォースの狙いは海外の知見を呼び込んで、事業拡大につなげることです。
業界全体でもりたてていくことが期待されますが、そのためには政府の協力や世論の高まりも欠かせません。
幸い、日本は脱炭素化やエコの関心が高まっています。
環境大臣は様々な取り組みを行っており、2021年には温室効果ガスを46%削減するという目標も立てられました。
温室効果ガスを削減するためには、電力ミックスをはじめ様々な施策が必要ですが、風力発電のさらなる成長も求められており、そのときに洋上風力は大きな力になるでしょう。

Influx洋上風力発電