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待機が多過ぎる特別養護老人ホーム

待機が多過ぎる特別養護老人ホーム

最終更新日 2024年11月20日 by sticep

介護保険法が施行された平成12年4月以降、この特別養護老人ホームは入居を待つ人であふれているのが常態でした。

入居可能な人数と受け入れ可能な人数が大幅に違っていて、入居できない要介護者は順番を待つしか無かったわけです。

そもそもこの施設では、早い者勝ちという考え方ではありません。

入居申し込みをしても早く申し込んだからと言ってすぐに利用が出来る訳ではないのです。

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入居の申し込みを行った人は、その本人及び家族構成や自分で出来ることさらには在宅介護の可否及び他の施設が適しているなどの状況を点数化します。

その点数によって、入居を急ぐべき人を優先して受け入れるようになっています。

入居を申し込んだとしても、家族や在宅介護の利用などによって対応が出来る場合になると、それほど急いで入居をしないでもいいという判断に繋がります。

反対に要介護度が高くしかも独居でかつ在宅介護が常時必要な人などは、特養で常時介護を受ける必要性が高いとされ、優先順位が上がります。

この点数化については、事業所すなわち特別養護老人ホームごとで多少の差異があります。

ただし、行政によりある程度の関与がなされており、理不尽な設定は出来ません。

周りからみても早く特養に入居した方が良いのでは、という人が優先されやすい仕組みになっているわけです。

しかしながら優先順位が高い人であっても、実際にはなかなか入居が出来ずに在宅介護でしのいでいる人が多いこともあります。

その程度は地域差がありますが、特に都市部において待機をしている人が多い傾向があります。

その主な理由としては、施設そのものが少ない傾向にあることとその施設への入居を待っている人の数が多いことがあり、結果として近距離での施設入居が困難になっていたりします。

本人や家族からは住み慣れた地域の特養を好む傾向があると、なおさら範囲を広げて施設を探すことをしなくなりますから、待機をする人が増えるわけです。

終の棲家とも言われる特養ですから、いったん入居をするとよほどのことが無い限りは空きが出ません。

そのよほどのこととは入居者が死亡したときであったり、あるいは別の地域特に家族が多く暮らしているところなどへの転居が挙げられます。

いずれの場合でも、それほど多くのケースがあるわけではなく、しかも空きが出て次の人は優先順位が高い人からになりますので、結果としてなかなか入居出来ないケースが多くなる仕組みです。

それでは特養の数を増やせば良いという考え方もありますが、この特養は介護老人福祉施設であり経営母体が社会福祉法人に限られます。

しかもその運営には介護報酬以外に税金も使われていますので、数を増やすためには多くの税金投入が必要になってくるわけです。

地方自治体はその財源不足から、この施設新設に慎重なところも多くある状況です。

特養ばかりに税金を使うわけにはいかないわけですが、さらにいったん施設を認めてしまうと、その施設は廃業しない限りは半永久的に使用され続けますので、税金投入をし続けなければならないという問題も生じます。

つまり、税金投入自体が厳しいことから、施設そのものの数を増やしたくない本音があるわけです。

受け皿となる施設数が限られることと、高齢化社会により比例して要介護状態の人も増えること、税金投入が厳しさを増していることなどから、待機状態となってしまう人が多くなっています。

国や地方自治体によっては、要介護状態にならないように介護予防への取り組みを急いでいますが、高齢者数の急増により今後ますます入居待ちになる人が増えると推測されています。

なお、近年の制度変更で入居対象を要介護1以上から3以上にしたのも、結局待機している数そのものを減らすための施策です。